【江戸前鮨とは?】江戸時代より続く伝統の五大技法 〜漬け〜
愛知県名古屋・東海を中心に出張すし職人をしているガンジーです。
私はすしの中でも「江戸前鮨」というジャンルを主に扱っています。
江戸前鮨とは?については過去の投稿がございます。
江戸前鮨とは、完全な生の魚を扱うのではなく、醤油で漬けたり、昆布で締めたりと職人が一手間加えたおすしで、保存性も高め、魚本来の旨味を引き出す、「魚を旨くする」おすしです。
今回は江戸時代より続く伝統の五大技法の一つである【漬け】についてお話させていただきます。
江戸前五大技法【漬け】とは?
漬けマグロという寿司ネタはご存知でしょうか。生のマグロを醤油に漬けこむ寿司ネタです。ではなぜ醤油に漬け込むのでしょうか?醤油をつけるだけなら、普段通り醤油をつけて食べればいいわけですが。
【漬け】る理由
保存性を高める
昔は冷蔵技術がなかったため、鮮度が重要な鮪は江戸に着く頃には腐っていました。そこで醤油に漬け込むことで保存性を高めました。
醤油に含まれる塩分や、空気を遮断することにより生のまま置いておくより長持ちします。
旨味を引き出す
醤油は醸造調味料なので、アミノ酸が多く旨味成分が含まれています。漬け込むことにより魚に旨味成分を添加または魚に含まれている旨味成分を引き出します。
食感・香りの違い
上記の保存性を高め旨味を引き出す結果、食感が変わります。具体的にはねっとりとそして香ばしくなります。
漬けるタレのことを漬け地と呼びますが、醤油だけで漬けるわけではなく、みりんや酒を合わせることでまろやかでしょっぱすぎない漬け地にするため、甘みも含みます。
マグロの赤身を際立たさせる
マグロには様々な部位があって、赤身、中トロ、大トロなんていうのが代表ですが、一般的に赤身>中トロ>大トロと値段と味が正比例するイメージがあると思います。
しかし、江戸前鮨ではトロの部分はあまり使いません。その昔、マグロは下魚で、あまり人気のある魚ではなく、トロの部分は「猫またぎ」といって何でも食べる猫でさえ、またいで避けるほど、大衆には受けず捨てられていたそうです。
しかし、江戸前鮨の一番の見せ所といってもいいのが赤身の漬けです。一般的にはトロに比べたら落ちるイメージがある赤身を、技法によりさらに美味しく際立たせているのが江戸前鮨の特徴と言えると思います。
漬けマグロの作り方
さて、具体的にどうやって漬けマグロを仕込んでいるのか?ただ醤油に漬け込むわけではなく、いくつかポイントがあります。
お湯を用意する
魚にお湯!?と思うかもしれませんが、必要な工程です。
「湯引き」といい、魚を数秒湯に浸すことで表面だけ固め、中は生の状態を作ります。
江戸前の漬け鮪はネタの形に切ると、周りの色がくすんでいて、中はきれいな赤色をしています。これは柵の状態(ネタ切りする前の状態)でお湯に数秒間浸しているから、外側の色が変わるためです。
では、なぜこの工程が必要なのでしょうか。
じっくりゆっくり浸透させることが重要。
醤油というのは食材にすぐ浸透してしまうので、湯引きしないと醤油が入りすぎてしょっぱくなってしまうことがあります。
湯引きをすることで表面を固めているため、醤油が身の中に入るスピードがゆるやかになるため、ゆっくり浸透させることができます。そのため、しょっぱくなりすぎず、マグロの旨味を引き出すことができます。
漬け地
ご説明した通り、醤油だけではしょっぱすぎます。そのため、酒とみりんと醤油を同割りで地を作ります。尚、これらの醸造調味料はアルコールが含まれているため、いったん火を入れてアルコールを飛ばすことが必要です。
酒とみりんを同量合わせ、火にかけます。煮立ってきてアルコールの匂いが消えたら同量の醤油を加えます。
先に醤油を入れないのは香りを飛ばしすぎないようにするためです。
醤油を入れて一煮立ちしたら火を止めて冷まします。
冷めた地に湯引きしたマグロをそのまま投入し、マグロが隠れるくらい地を注ぎます。
あとはラップなどで空気に触れないようにして冷蔵庫で保管します。
漬け時間
漬け時間は好みによって変えています。さっぱりと行くなら1~2時間だし、ねっとりとさせたいなら一晩漬け込んだりします。漬け込みすぎると硬くなりすぎるため、ある程度漬け込んだら地から上げることも必要です。
この辺りはどれが正しいということはなく、少しずつ食べてみて自分の好みで決めるとよいかと思います。
漬けの技法はマグロだけでなく、色々な魚介に使えます。
私も多用する魚の旨味が引き立つ、江戸前を代表する技法です。
ぜひ一度食べてみてください。
出張すし職人ガンジーは愛知県名古屋市・春日井市を中心に活動している出張料理人です。
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