【江戸前鮨とは?】〜寿司と鮨の違いがわかる3つのこと vol.2〜
「江戸前鮨って何?」
「普通の寿司と何が違うの?」
本稿では江戸前鮨とは何かについてお話ししたいと思います。
本日はvol.2です。前回の記事はこちら。
【江戸前鮨とは?】
2. 一手間加えたおすしである
いわゆるお寿司というと、「切った生の魚を酢飯と一緒に握って食べるもの」ですが、江戸前鮨では完全に生の魚は出さず、必ず醤油で漬けたり、酢で締めたりと一手間加えてから出しています。
それは何故か?
当時の江戸では冷蔵技術がなく、江戸湾で獲れた魚たちは江戸に着く頃には腐っていました。
保存性を高めるために発酵調味料に漬け込んでいました。
そもそも、江戸前鮨に限らず、日本古来のすしは「なれずし」といい、塩漬けの魚を米で何年も寝かして食べる発酵保存食でした。
生の魚を食べられるようになったのは、冷蔵技術が発達した現代のこと。ですから元々一手間加えることが一般的だったわけです。
【江戸前五大技法】
ところで、江戸前鮨では下記の5つの技法を基本として調理をしています。「漬けマグロ」や「昆布締め」は回転寿司でもよく目にすると思いますが、江戸前鮨の技法を取り入れたおすしというわけです。
【漬け】
醤油:酒:みりんで配合された調味液に漬けることで殺菌し、酸化を防ぐとともに、醤油の旨味を染み込ませる手法。
【酢締め】
酢に漬け込んで殺菌し、臭みをとる。酢の酸味を加える手法。
【昆布締め】
昆布で切り身を挟み込み、昆布の旨味成分グルタミン酸を魚に加えるとともに、塩分によって臭みも抜く。
【煮】
生で食べられない魚でも煮込むことで美味しく食べられる。酒と砂糖でふっくら煮ることで細かい骨も食べられるようになる。穴子など。
【茹】
エビなど甲殻類に用いられる。短時間茹でることで色を綺麗に見せることができ、旨味を閉じ込める。
江戸前鮨の五大技法の1番のポイントは、単に保存性を高める技術だけでなく、魚本来の旨味を技法で更に引き立たせるところにあります。
【寿司】と【鮨】の違いとは?
ところで、今までおすしのお話をしていきましたが、ところどころ「寿司」だったり「鮨」だったり違う漢字が使われています。
それは何故でしょうか?
実は「寿司」というのは江戸時代につけられた新しい当て字で、「寿」という漢字が縁起がよいということから、寿司という漢字がおすしに使われたそうな。
今では一般的な総称として「寿司」がよく使われているようですが、厳密な定義はありません。
鮨は古来より使われている漢字で中国より伝わった時点では「魚の塩辛」という意味合いで伝わったようです。
江戸前ではあえて「鮨」の漢字を使っています。それは鮨の漢字が「魚を旨くする」と書くように、江戸前鮨が一手間加えて、魚本来の旨味を技法で引き出しているおすしだからです。
*ちなみに、関西地方では「鮓」の漢字がよく使われるようです。これも古来より使われている漢字ですが、「塩と米で醸した漬物」という意味でおすしの起源である「なれずし」にはこの漢字を使う場合が多かったようです。
次回は最後の江戸前鮨足らしめるポイントについて説明したいと思います。
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